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「食べチョク いちごグランプリ2025」品評会レポート

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2/4(火)、都内某所で「食べチョク いちごグランプリ2025」が開催されました。フルフムの編集長も審査員として参加し、当日の様子を取材して来ました!

「食べチョク いちごグランプリ2025」は、日本最大の産直通販サイト「食べチョク」を運営する、株式会社ビビッドガーデンさんが主催しています。いちごの魅力や生産者の取り組みを広めることを目的としたイベントで、全国で特に優れた品質のいちごを栽培する生産者を表彰します。
今回のエントリー数は、なんと約100軒!いちごに詳しい研究者や生産者などが審査を担当しました。

まずは、「食べチョク」代表の秋元里奈さんから開催趣旨の説明がありました。昨年の開催実績や反響の大きさについて伺うことができました。全体を通して“生産者のための”品評会ということで、私たちも今回の審査の意義を強く感じました。

株式会社ビビッドガーデン 代表取締役社長の秋元里奈さん
審査方法についての説明を受けます。

今回は審査の部門が分かれており、「濃厚な甘み部門」「さわやかな甘み部門」「バランスが良い甘み部門」の3部門がありました。また、食味の他にパッケージの審査があります。パッケージ審査については、産直ECである食べチョクらしい意図で、いちごを注文してからいちごが届くまでの体験も含めて審査の対象になるとのことでした。
確かに、手元に届いたパッケージで味への期待が高まったり、品種や生産者さんのことをよく知ることができるのは産直ECの醍醐味ですね。

他には、成分分析も行われ、審査結果と共に生産者へフィードバックされます。自分が育てた作物の成分分析をする機会はあまりないと思うので、これは生産者さんは嬉しいのではないでしょうか!

審査員は、産地・品種・生産者名を伏せた状態で食味審査を行います。審査時間は120分。甘味や酸味、香りや食感などのメモをとりつつ慎重に審査をする姿は、少し緊張感がありました。食味スタイルも様々で、半分にカットしたり、先端だけ先に食べたり、何種類も行き来して確認するように食べたりと多種多様です。

食味審査の後、パッケージ審査へと移りました。購入者の手元に届いて開封した状態を再現した状態のパッケージが多数並びます。「食べチョク」では、品種や食べ方、生産者のこだわりを伝える同梱物も大切にしているとのこと。審査員の方々からは、「パッケージの方が評価が難しい」といった声も聞こえてきました。

ずらっと並んだパッケージ。開けた瞬間を想像しながら審査していきます。

審査結果の集計を待っている間に、審査員として参加された方にお話を伺いました。
インタビューに答えてくれたのは、株式会社アグリテックプラス 代表の前田光樹さんです。

株式会社アグリテックプラス 代表 前田光樹さん

フルフム編集部(以下、編集部):まずは、前田さんの会社や専門分野について聞かせてください。

前田さん(以下、前田):当社ではいちごの育種や技術開発、生産まで幅広く手がけています。生産したいちごの約7割以上を海外に輸出しており、かなり海外市場に特化した会社です。いちごは赤、白、ピンクの3色をパッケージにして販売しています。

編集部:いちごは柔らかいので、輸送が難しそうですね。

前田さん:そうなんです。実は、今日のパッケージの審査では、輸送性をかなり重要なポイントとして審査いたしました。見た目はもちろん大事ですが、いちごの状態をしっかり保てるパッケージかどうかも重要なポイントとして考えています。どんなに美味しくても、手に取ったときに潰れていると見た目も味も台無しになってしまいますから。

編集部:審査員の方々それぞれが、プロフェッショナルな視点で審査基準を持っているんですね!とても興味深いです。「食べチョクいちごグランプリ2025」の審査全体はいかがでしたか?

前田さん:日本のいちごは輸出も伸びていますし、注目度も高まっているので、いちごの生産者さんにスポットを当てるこうしたイベントは素晴らしいと思います。個人的には、外国人を審査員に加えることで、よりグローバルな評価ができるのではないかとも感じました。


パッケージの自体の輸送性については、消費者側からでは見落としがちな点ですが、綺麗な状態で手元に届くには大切な要素だと改めて考えさせられました。

審査員が見守る中、発表された審査結果は以下です!


食べチョクいちごグランプリ2025
総合大賞
出品者:コードファーム175(兵庫県小野市) 品名:ほしうらら

【濃厚な甘み部門】金
出品者:TNfarm(埼玉県三郷市) 品名:あまりん
出品者:北田農園 苺のマルシェ(埼玉県所沢市) 品名:あまりん

【さわやかな甘み部門】金賞
出品者:株式会社げんき農場(埼玉県羽生市) 品名:べにたま
出品者:コードファーム175(兵庫県小野市) 品名:ほしうらら ※総合大賞受賞

【バランスが良い甘み部門】金賞
出品者:苺音ファーム(香川県三木町) 品名:さぬきひめ
出品者:株式会社 多幸寿(熊本県玉名市) 品名:肥後こまち

【パッケージ賞】
出品者:コードファーム175(兵庫県小野市) 品名:ほしうらら ※総合大賞受賞
出品者:かがやきいちご園(群馬県伊勢崎市) 品名:やよいひめ


様々な品種が受賞されました!中には希少な品種もあり、消費者側が様々な品種に興味を持ったり、農家さんに出会ったりするきっかけにもなりますね。
また、成分分析を行なった方からは、審査員の食味審査の評価と成分分析で出た評価が近しいというお話もあり、とても興味深い結果となりました。

フルフム編集部(以下、編集部):「食べチョクいちごグランプリ2025」の開催のきっかけを教えてください。

秋元さん(以下、秋元):食べチョクにはさまざまな品種が出ていますが、まだあまり知られていないけれど美味しい品種がたくさんあります。そんな品種に多くの人に出会ってほしいという思いから、この品評会を始めました。

昨年が初めての開催だったのですが、実際にやってみると、受賞された方の売り上げが大きく伸びたり、直売所でも「受賞」という実績を活かして棚が作られたりと、こだわって作っている生産者の方々の売り上げにしっかり貢献できる手応えを感じました。私たちの会社の理念は、「生産者の“こだわり”が、正当に評価される世界へ」です。この品評会は、その理念に本当にマッチしていると感じています。

編集部:審査の結果を生産者にフィードバックするという取り組みもとても良いと感じました。

秋元:前回受賞できなかった方から、審査員のコメントについて「とても勉強になった」「励みになった」とポジティブな声を多くいただきました。中には厳しい意見もありましたが、それも前向きに受け止めてくださる方が多く、改めてフィードバックの重要性を感じました。今後もこの取り組みは大事にしていきたいです。

編集部:甘み部門が3つある理由について教えてください。

秋元:品種の良し悪しにも関わる話なんですが、食べチョクで意識しているのは、「これが正解」という画一的な基準を設けないことです。
やはり甘いものの方が一般的には受け入れられやすいので、甘い品種がどんどん増えていく傾向があります。ただ、昔ながらの酸味が好きという方も一定数いるんです。これは結局、好みの問題ですよね。確かに甘いものが好きな人は多いですが、甘さだけが評価基準ではないということを大切にしたいと思っています。

そういう多様な視点から評価できるようにするため、今回は3部門に分けて審査を行いました。甘さだけが正義ではなく、いろんな「美味しさ」があっていい、という考え方を反映させた形です。

編集部:フルフムの読者に向けて、一言メッセージをお願いします。

秋元:フルーツが好きな方は多いと思いますが、まだ出会っていない品種も数百種類以上あるので、ぜひいつも食べているもの以外にもチャレンジしてみてください!新しい発見をしながら、自分のお気に入りの品種や、好みの味わいを探して楽しむことで、フルーツの世界がさらに奥深いものになると思います。

あとがき

会場に入った瞬間、甘いいちごの香りに包まれてわくわく!
“生産者のための”品評会という趣旨に非常に共感し、私たちも微力ながら何かお手伝いできればという気持ちで参加しました。

明るい笑顔でインタビューに答えてくださった秋元代表をはじめ、設営や説明などで忙しく働きながらも、丁寧に案内してくださった「食べチョク」のスタッフの皆様、審査及び取材の機会をいただきありがとうございました!

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