
ドリアンの臭いを嗅いだ日本人の友達は大抵こう言います。
「なに?臭い!」「どっかに生ゴミがある?」
でも、ドリアンを嗅いだマレーシア人はこう言います。
「どこかで美味しそうなドリアンの香りがする!」
はい。
ドリアンの臭いに慣れていない鼻には、ドリアンが臭いと感じるのに対し、マレーシア人には美味しそうな(甘い)香り!と感じるようです。
そして、ドリアンを心から愛しています。
「大袈裟な…」「そんなに臭いの?」「どんな味?」と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、マレーシアで愛されているドリアンについて紹介します。
ドリアンってどんなフルーツ?

ドリアンは、イガイガして固く、角のような皮に覆われています。普通に触ると痛いので、ドリアンを運ぶ時は、分厚い手袋をはめたり、茎の部分を持ったりしなければなりません。
そして、その皮の状態ですでにドリアンの匂いを周囲に漂わせています。
ドリアンの硬い皮を開けると、そこにはプリッとしたベージュ色(種によっては黄色)のドリアンの実が。
それを手に取って食べると、種が出てきます。
クリーミーな食感

ドリアンの実は、ローカルの言葉を借りると「クリーミー」です。
私は「クリーミー」という表現を聞くたびに「ドリアンらしさをよく表しているなあ〜」と感じます。
りんごのようなシャキシャキとした食感でも、マンゴーのようなとろけるような柔らかい食感でもなく、とにかくクリーミー。
食感だけでいうと、クリームチーズを食べているかのような感触です(味は全く違います)。
ドリアンの味

気になる味はと言うと、なんとも表現が難しいです。ドリアンの臭いと味がそのまま比例しているというわけでもありません。
「カスタードクリームに似ている」と言われることもありますが、個人的には少し違うような気もします。
とにかく「ドリアンはドリアンだ!」というような、独特な味わいです。
自分ではドリアンの味わいをどのように表現したら良いのか限界があったので、他の人にインタビューしてみました。そうすると「アボカド」とか「トントロ」などの答えが返ってきました。
さらに「完熟したマンゴー」と感じる人もいるようです。本当に人によって様々な感じ方があるほどに独特な味わいなのだと想像していただけると嬉しいです。
と言ってもりんごに「フジ」「ジョナゴールド」のような種類があるように、ドリアンにも種類がありそれぞれ味が微妙に異なります。
地元の人は「これはビターな味だ!」「これはちょっと甘い」など、微妙な味の違いを楽しんでいます。
私も最近は「ビター」と「甘い」くらいの簡単な違いがようやく分かるようになってきましたが、微妙な味の違いを表現できる域にはまだ達していません。
早く、ドリアンの味わいを語れるレベルになりたいと密かに思っています。
ドリアンの臭い(香り)は?
ドリアンの香りはよく「玉ねぎが腐ったような臭い」「生ゴミの臭い」に例えられます。
実際、日本からマレーシアに遊びに来ていた友達がドリアンのある部屋に入った時に、一言目に言った言葉が「臭!この部屋!生ゴミがあるんじゃない?」です。
「やっぱりドリアンは臭いと思われるんだなあ」と実感した出来事でした。
そんなドリアンは、嫌いな人には「臭い」、好きな人には「ドリアンの良い香り」と言われます。
好きか嫌いかによって臭いの感じ方まではっきりと異なるようです。
ドリアンはエナジードリンクの代わりになる?ドリアンパワーとは?
マレーシア人は「風邪のひきかけや疲れた時にドリアンを食べると良い」とよく言います。
ローカル曰くドリアンは漢方で言うと「陽」しかもかなりパワフルな「陽」に当たる食べ物で、食べるとパワーがみなぎるのだそう。
それで、エナジードリンクを飲む感覚で、ドリアンを食べることもあります。
薬を飲むほどではない段階の時に、ドリアンを食べると、体温が上昇してエネルギーも燃焼しやすくなるとのことです。
ただし、量を食べすぎると、体温が上昇しすぎて熱が出ることも。実際、夫はドリアンを食べすぎて次の日に熱を出したことがあります。
本格的に病気になって寝込んでいる時や、体力を消耗している時にはドリアンを食べた後に具合が悪化することも。
ドリアンを食べる時には、量のバランスを考えることが大切です。

ドリアンパーティーまで開かれるマレーシア人のドリアン愛

味わいや、臭い、形、パワーまで何をとっても独特なフルーツであるドリアンは、多くのマレーシア人に愛されています。
ドリアンのシーズンになると、なんとなくみんながソワソワし始め「どこどこでドリアンが安くなっていた」「どこどこのドリアンの味が良かった」などと話題になります。
また、ドリアンが安い時期には、ドリアンパーティーが開かれることも。
ドリアンパーティーの内容は、どこかの場所(もしくはドリアン農場)に集まって、とにかくドリアンを食べまくると言うものです。
次々にドリアンを開けては「わ〜」と歓声をあげ、味見をしては「これはビターだ」「これはイマイチ」「最高にバランスが取れた味」など、評価をしながらドリアンを食べ続けます。
「そんなの何が楽しいの?」と思うかもしれませんが、毎年みんな本当に楽しそうです。
パーティーが終了すると、満足した様子で「今年のドリアンの出来具合や値段設定」についての感想を言い合いながら帰途につきます。
なんなら「次のドリアンパーティーはいつにするか?」など、もう次のことまで話し合っているので、マレーシアで重要視されているイベントであることを実感します。
ドリアンとの出会い&初めて食べたドリアンの感想

かくいう私も、ドリアンが大好きです。
私が初めてマレーシアに来た時期がたまたまシーズンと重なっていたようで、来ていきなり半ば強制的に食べさせられたのがドリアンとの出会いです。
「どう?」と目をキラキラさせて食べさせてくれるマレーシア人を尻目に、食べてみた感想は「美味しいわけじゃないけど、食べられなくもない」という微妙なものでした。
クリームチーズを食べているかのようなクリーミーなフルーツを食べたのが初めてだったので、臭いや味よりも食感に衝撃を受けました。
ただ、微妙な反応をすると期待してくれている相手に失礼だと思い(当時は、まだ日本人の申し訳ないと言う感情を持っていたのです)、食べ続けたのを覚えています。
が、時が経つうちに、ドリアン大好き人間になってしまいました。
今ではドリアンの香りを「甘くて良い香り〜」と感じ、ドリアンTシャツを着るほどにすっかり変わってしまった自分に、驚いています。
ドリアンは3回食べると好きになる?

「ドリアンは3回食べると好きになる」と言われています。
初めてドリアンを食べた時に「臭い」「まずい」と感じた人でも、3回目には「おいしい」と感じる人が多いようです。
私も、ドリアンを最初に食べた時には微妙な気持ちでした。
でもたまたまシーズンだったこともあり、とにかくどの家に行ってもドリアンをすすめられるので、断れずにドリアンを食べ続けていました。
ちょうど3回目くらいから「ん?なんか好きかも」と感じ始め、4回目には「やっぱり好き」に変わったのです。
今では「ドリアンが大好き!」「ドリアンパーティーに呼んで!」と自分からアピールするほどにドリアンが好きになってしまいました。
ドリアンは本当にフルーツの王様なのか?

ドリアンはフルーツの王様だとよく言われます。
マレーシアにはドリアン以外にも、マンゴー、パパイヤ、マンゴスチン……と美味しいトロピカルフルーツがあります。
みんなはほとんどのフルーツが大好きで、ドリアンほどに、好き嫌いが分かれていません。
それで「ドリアンよりも他のフルーツの方が多くの人に馴染みがあり、愛されているのでは?」と感じることもあります。
ただ、他のフルーツのためにわざわざパーティーが開かれることはありませんし、みんながソワソワするわけでもありません。
ドリアンを食べるためだけに、わざわざ2時間以上もかけて、農場を訪れることもありません。
ドリアンには、みんなをどこか浮き足だった気持ちにさせるほどの力があります。
そういったことを考えると、やっぱりフルーツの王様だなあと納得せずにはいられません。
マレーシアでドリアンを食べるには?

マレーシアのシーズンになると、道端や屋台などで山のようになってドリアンが売られている様子をあちこちで見かけます。
また、それぞれお得意様のお店があるので、地元の人は気軽にドリアンを購入しています。
ただし、そのような方法は、旅行者や際マレーシアの外国人にはちょっとハードルが高いのも事実です。
「味見程度にドリアンを食べたい」という場合は、スーパーの果物コーナーでパック売りにしているドリアンを買ってみるのが最も簡単です。
量も多くないので、気軽にドリアンを試せます。
本格的にドリアンをお腹いっぱい食べてみたい方は、ドリアン農場を訪れてみるのも面白いでしょう。
例えばペナン島には、ドリアン農場があり1人40RM程度でドリアンを楽しめます。
ショップの名は「Lovers Durian Trading」。もう名前からしてオーナーと客のドリアン愛を感じざるを得ません。
ジョージタウンという有名な観光スポットの反対側(南側)に、その農場はあります。
いろいろな種類のドリアンが食べられるので(「猫山王、ブラックストーン、カンポンドリアン」など、特別な種を除く)、食べ比べしてみるのもおすすめです。

【Lovers Durian Tradingの情報】

Lovers Durian Trading
マレーシア
〒11020Pulau Pinang, Balik Pulau,
Pulau Betong, Mukim 7
Tel:+60176400431
3度食べてみてほしいドリアン

ドリアンは本当に好き嫌いが分かれますが、一度ハマると虜になります。
それで、機会があった時は一度とは言わず、ぜひ3回食べてほしい果物です。
ドリアンの魅力や、ドリアンが原因で起こったハプニングなど、ドリアンついての話はつきません。
このサイトでドリアン愛について語る際は、お付き合いいただけると嬉しいです。