
愛知県の最南端に位置し、山と海の恵み豊かな田原市。この地には高級メロンの生産・販売を手がける「すず農園」があります。今回は、すず農園代表の鈴木こうやさんに農園を案内していただきながら、メロンについてお話を伺います。
まず目に入ったのは大量の段ボール

中尾蒼(以下、蒼):すごい量の段ボールですね!パッと見て200箱ほどありそうですが、すべてメロンなのでしょうか?
鈴木こうやさん(以下、こうや):全部メロンです!ちょうど収穫時期で、ほぼ毎日収穫しています。今日の午前もずっと収穫作業をしていました(笑)
蒼:収穫時期にお伺いできて良かったです!ちなみに、なんという品種のメロンを栽培されているのでしょうか?
こうや:ルピアレッドという品種を育てています。ルピアレッドは果肉が濃いオレンジ色で、甘みが強いのが特徴なんです。

夏はメロン農家で、冬はセロリ農家
蒼:ホームページでセロリの販売をされていますが、セロリも栽培しているのでしょうか?
こうや:そうですね。どちらかと言えばセロリがメインです(笑)セロリは冬に栽培するものなので、夏の期間は畑が空いてしまうんです。それではもったいないという事で、夏に栽培できるメロンを数年前に始めました。今ではセロリと同じくらい力を入れて取り組んでいます!
こうや: あと、メロンとセロリを同じ畑で交互に植えることでメリットもあるんです
蒼:メリット?具体的にはどんなメリットでしょうか。気になります!
こうや:メリットは2つあって、まずは、肥料のことですね。セロリ栽培では比較的多くの肥料を使うので、収穫後も肥料成分が土に残ってしまいます。これまでは残った肥料は自然に流れていくだけでしたが、セロリの後にメロンを植えることで、残った肥料を使ってくれるんです。つまり、肥料の無駄がなくなったんです。また、その肥料のおかげでメロンの初期生育が抜群に良くなり、甘いメロンが収穫できています!
もうひとつは、メロンの連作障害が出にくくなることです。数年前から毎年メロンを栽培していますが、セロリとの相性が良いのか、今のところ大きな影響は出ていませんね。

インスタフォロワー1.4万人!!
蒼:すず農園といえばインスタグラムが有名ですよね。
こうや:ありがたいことに1.4万人の方にフォローしていただいています!
蒼:すごいですね!インスタグラムを始めて何か変わったことはありますか?
こうや:栽培に対するモチベーションが大きく変わりましたね!お客様との距離が近くなった分、これまで以上に質の良いメロンを届けなきゃ。と思います。
蒼:素敵ですね!やはりインスタグラムからの注文も多いのでしょうか?
こうや:直販させていただいているメロンのうち、およそ半分がインスタグラム経由で売れていますね。ほんと、ありがたいです。
メロンはとても繊細なフルーツ
メロンを栽培しているビニールハウスに案内していただきました。現在、メロンを栽培しているビニールハウスは11棟あるそうです。

こうや:こちらがすず農園で育てているメロン(ルピアレッド)です!
蒼:すごい!大きな実がなっていますね。こちらは収穫間際なのでしょうか?
こうや:収穫までもう少しといったところでしょうか。葉が枯れてくると収穫の合図ですね。そこまで待つと、メロンに糖分がのりやすくなるんです。
蒼:そうなんですね!メロン栽培は難しいとよく聞きますが、どういったところが難しいのでしょうか?
こうや:メロンは繊細で手間がかかるのが難しいポイントですね。一度のちょっとしたミスで畑すべてのメロンが売り物にならなくなることも珍しくありません。実際、何度かそうなったことがあります(笑)
蒼:それは大変ですね……。
こうや:具体的には、収穫期のメロンが水を大量に吸って、実が割れてしまうことが多いです。そうならないよう水分管理には特に気を使っています。あとは、日焼けによる失敗も多いですね。メロンの実は強い日光を浴び続けると日焼けして、白いかさぶたのようなものができます。その白いかさぶたは見た目が悪いだけでなく、腐る原因になってしまうので商品になりませんね。すず農園ではビニールハウスの屋根に石灰をまいて直射日光が当たらないよう工夫しています。
蒼:本当に繊細……私たちが食べているきれいで甘いメロンはこういう苦労のもと、作られているんですね。
メロン農家が教える、おいしいメロンの見分け方と食べるコツ
こうや:甘さが抜群なおいしいメロンの見分け方、知っていますか?
蒼:おいしいメロンの見分け方……?ぜひ知りたいです!
こうや:メロンのおいしさを見分けるポイントはいくつかありますが、やはり一番気にするべきなのは「重さ」ですね。持った時にずっしりとした重さを感じる個体が、甘くおいしいです!メロンは一株に6つ前後の実をならせるので、栄養の奪い合いが起こります。その競争に勝った個体がずっしりと重く、甘さも乗っています。見た目や形のキレイさも大切ですが、まずは重さに着目してもらいたいですね。
蒼:なるほど!ずっしりとした重さですね!
こうや:あとは、ほず(ヘタ元)が茶色く、ひび割れているものは実が熟しているサインです。購入してすぐ食べたい場合は確認してみてください!メロンの追熟の具合を見極める目安にもなりますよ。

蒼:メロンのおいしい食べ方ってありますか?
こうや:そうですね~。この前、お客さんに教えていただいたのは、メロンを輪切りにして種をくり抜き、器のようにしたところにバニラアイスを入れて、果肉と一緒に楽しむという方法ですね。私も実際にやってみたんですがメロンとバニラアイスの相性が抜群でおいしかったです!ただ、贅沢だなと思いました(笑)
蒼:おいしそうですね。機会があればぜひやってみたいです!他にもメロンをおいしく食べるコツがあれば知りたいです!
こうや:メロンは必ず冷やした状態で食べてもらいたいですね。常温に比べて、次から次へと食べたくなるようなのど越しの良さとメロン本来の甘さと爽やかさが感じられます!あとは、メロンに塩をかけると甘さが際立っておいしいですよ。ぜひ試してみてください!

すず農園の今後の挑戦
蒼:最後に、今後の展望や挑戦してみたいことはありますか?
こうや:ネット販売など、お客様に直接メロンを届ける販売方法をさらに拡大していきたいです。現状、JAさんに95%、ネット販売5%なので、この割合を半々にできると理想的ですね。そのために、よりお客様に納得していただけるような品質の良いメロン栽培を頑張りたいと思っています!
蒼:興味深いお話をたくさん聞くことができました!本日はありがとうございました!
すず農園