
旬のフルーツを求めて向かったのは吉祥寺のフルーツパーラー。駅からバスで約10分、街の喧騒を抜けた先に現れたのは、長屋の一角をリノベーションした果実の隠れ家「果実店 canvas」。
2019年に幡ヶ谷で創業し、現在は吉祥寺に店舗を構えるこちらのお店では、フルーツの魅力を思いがけない形で楽しめる、ユニークなスイーツを味わうことができます。


外の光をたっぷりと取り込んだ店内は、白い壁とざらりとした質感の床が印象的。
扉を開けた瞬間、まず目を引くのは、入り口横に佇む大きな“木”のオブジェ。そして、ゆるやかに湾曲したキッチン横の壁に沿って店内へ進むと、別の世界への入口に立ったような気持ちにさせてくれます。
そっと置かれた保存瓶や古い家具たちが、空間に自然溶け込みながらも、それぞれが確かな存在感を放ち、まるで物語の中にいるような風景をつくり出しています。

店内を散策していると味わい深い手書きタッチのマップを発見!
まるで、物語の舞台を探検しているようなワクワク感。
なんとも面白いのが店内で使用される椅子にはすべて名前がついていること。スイーツを食べるだけではなく、お気に入りの一席を見つけること自体が、特別な体験になること間違いなし。
3階には「秘密のテラス」と呼ばれる空間があるようですが、今回は補修中で確認できず。必ずまた来ようと心に決めました。



木のぬくもりが感じられるテーブル、天井から吊るされたドライフラワー、窓辺に並ぶ観葉植物。
一角には作家が作った様々なカトラリーが展示販売されています。

店内を散策していると時間はあっという間に過ぎ、料理が運ばれてきました。
canvasの人気メニュー、キャラメルバニラバナナです。
大胆に添えられたバナナがグラスに刺さっています。
とにかく見た目のインパクトが凄まじいこちらの商品、
一体どうなっているのか、困惑する気持ちを抑えつついただきます。
口の中いっぱいになめらかなバニラの香りと完熟バナナの濃厚な甘さが広がり、キャラメルのほんのりビターなアクセントが絶妙に溶け合っています。見た目は遊び心たっぷりですが、味わいはにかく繊細でうっとりするような味わいでした。金属製の太めのストローもひんやりと口当たりよく、美味しさのあまりあっという間に飲み終わってしまいました。
ちなみに刺さっているバナナですが、下の部分は冷えたチョコで器に固定されていました。写真映えも味わいも大満足な逸品、ぜひ一度ご賞味ください。

次に運ばれてきたのはこちら。
「赤と青のメロンソーダパフェ」
まるで散りばめられた宝石のように綺麗なこちらのメニューはアンデスメロンとクインシーメロン、2種のメロンを贅沢に使用したメロン好きにはたまらない逸品。様々にカットされたメロンが見た目も食感も楽しませてくれます。
こちらの商品、楽しい演出がありました。最後にエスプーマという泡のシロップを入れてもらいます。なるほど、ここでようやくメロンソーダが登場です。泡がキラキラと光ってより一層美しい見た目になりました。
あっさり上品なアンデスメロン、濃厚ジューシーなクインシーメロン、どちらも違った魅力でフォークが止まらない美味しさ。さらに、メロンシャーベットは爽やかな香りとひんやりした口あたりが心地よく、後味まで楽しめます。
旬のフルーツを素敵な空間で味わうことができて本当に幸せな午後を過ごすことができました。
今回実食させていただいたメニュー以外にも、お昼はフルーツを使ったランチメニューも展開しているようで、ぜひ今度はそちらも食べに行こうと思います。
あとがき
最後に「果実店 canvas」店主の佐藤さんにお話を聞くすることができました。
佐藤さんはご実家が苺大福などを作る和菓子屋であり、幼い時から身近にフルーツの存在があったそうで、そのことがフルーツに興味を持つきっかけになったそうです。
もっと多くの人にフルーツの美味しさ、奥深さを伝えたい、その想いから店を始めた佐藤さんは、市場に実際に足を運び、フルーツの状態をその目で見極めて仕入れることを大切にしています。その年のフルーツの状態や仕上がりを見て判断するため、季節が旬であっても納得いかない出来なら使うことはないといいます。メニューの開発も長い時は2年間かけるそうで、フルーツの魅力を最大に引き出し、伝えるために一切の妥協はありません。佐藤さんのフルーツへの情熱が詰め込まれた数々のメニューをぜひ味わってみてはいかがでしょうか。
